こんにちは!研修科1年の今野美彩貴です。
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今回は、第3回研修科発表会『痕跡(あとあと)』の演出を務める小林勝也さんのインタビューをお届けします!
小林勝也さんが俳優として出演した『荒れ野』(作・演出/桑原裕子)での思い出とともに、作品の魅力や、演出をする上での思いなど、貴重なお話を伺いました。
(演出:小林勝也)
1. 桑原裕子作『痕跡(あとあと)』という作品について
Q.『痕跡(あとあと)』という作品を選んだ理由はなんですか?
小林:僕は桑原作品が好きで、みなさんにもその桑原作品を味わってもらいたい。その中で比較的最近やったもので、この作品は女が7人?まぁ、子供の有樹は女の子がやるってことで言うと、君らの人数でやれるとしたらこの作品がいいかなと。で、僕も研究所の卒業公演とかは、自分が好きな作品、演出してみたい作品、皆さんに伝えたい作品を考えるんです。今まではこういう現代劇のようなものっていうのはほとんどなかったから。去年流れた川村君の作品(※2020年5月に『路上』(作:川村毅)を予定していたが新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言発出の影響で中止)は比較的現代劇でちょっと変わった芝居だったんで。まぁ、同じものをと思っても、あれは下(モリヤビル1階稽古場)でやる発表会という条件で選んだ作品だから。今回は、アトリエでできる発表会なので、僕もやったことがないことをやりたいなと思う。大体そんな理由だけどね。うん。
Q.この戯曲の作家でもある、桑原裕子さんのファンだとお聞きしたのですが、桑原さんのどういったところに魅力を感じますか?
小林:うーん、まぁ面白いしね。君らが稽古の時にDVDで観た『荒れ野』は、一年前に君らの授業と同じようにエチュードから始まったんです。1年前本を書く前に出演者だけ決まってて、ゲームやったり、エチュードやらされたり、3,4日やったかな。「嫌なエチュードやるなぁ。」と思ったのもあったけどね。
研修科生:たとえば?
小林:人狼ゲームとか。人狼ゲーム好きなんだよ、あの人。俺ダメなんだよああいうの。すぐゲームからいなくなっちゃう。
研修科生:(笑い)
小林:それで実際は、なんだろうな、お酒飲むし、たばこも吸うし、女優だし。君らがDVDで観た『荒れ野』は、作・演出だけだったんだけど。稽古もしつこいし。
あの芝居はね、転換は全部役者でやったから。鍋のセットとかね、大変だったよ。ひとつの転換稽古に1時間位かけたから、毎日。あとは……うん、ファンていう言葉が一番ぴったりかな、僕には。
(インタビュー中の様子)
Q.小林さんがもし『痕跡(あとあと)』に出演するならどの役をやりたいですか?
小林:なんかの時にね桑原さんが「勝也さんの黒沢が観てみたい」って言ってたよ。俺「いやだよ」って言ったんだよ。目に義眼入れなきゃいけないし。
自分の年齢から言って、一番俺の年齢に近いのは竹夫かな。竹夫はあの事件の時30……設定では?
研修科生:35です。
小林:35でしょ。で、10年後が45でしょ、だからそりゃ自分がその年頃だったら竹夫をやりたかったかもしれない。
(インタビューの様子)
2. 演出について
Q.舞台を演出するうえで、一番大切にしていることは何ですか?
小林:……面白くすること。
あと、いかに皆さんを楽しませるか。あるいは役を。だから役者と役の人数が合わないとき俺、『十二夜』(60期本科夜間部卒業発表会)の時無理やり役を増やしたりしてる(笑)
だからダブルキャストだと、裏の人がいろんなことができるっていうのは俺も好きなんだよ。
あとはね、なるべく感情出すようにしてます。面白くなかったら面白くないっていう。つまんないよって(笑)
あとは、君らに面白がってもらいたいだけ。
(稽古中の様子)
3. 研究所について
Q.小林さんの研修生時代の失敗談などありますか?
小林:研修生時代はね、あんまりなかったけどね。
文学座アトリエ公演に出演するようになった頃は、その他大勢の役で出ててね。足軽の一人になって敵の大将の首を取ったつって、殿様に生首をもって報告に行くの。で、殿様は奥にいるから客席からは生首の顔は見えないわけね。そのちょんまげの生首にメガネかけて「なんとかの首を取って参りました!」ってドーンと置いたら、「ぷー」って殿様が笑って、舞台監督にえらく怒られた(笑)
研修科生:(笑い)
小林:僕が入った時って人が少ないから、その他の役で駆り出されるわけよ。そうすると、役つまんないから遊ぶことばっかり考えて……。先輩たちはもっとひどかったらしいぞ。
でも、大体怒られるのは、ふざけたやつに笑っちゃったやつ。笑っちゃったやつは怒られるから、それをやり合戦してたよ!わかんないように、笑かして、困らせて。
失敗はあんまりなかったな。俺優等生に見られてたから。
だから少し経ってからです。こういう事(研究所の演出など)やり始めたころ研究生と一緒に飲みに行って、喧嘩になって胸倉掴まれたりしたことありますよ!
研修科生:なんか言い争いですか?
小林:うん!よく昔あった、議論とか口喧嘩……演劇論だとか。
だけど今の研修科生は、お互いに芝居の話することとかあまりないんでしょ?
研修科生:ないです。
小林:セリフ合わせとかでもいいから、出演者同士、世間話も含めていろんな話をしたほうがいいと思う。その時何かが実らなくてもいいから。
4.小林さんが、稽古場でやってみたい事
小林:たとえば今回やってみたい事はね、瞬と花子がこの稽古場から2人で外苑行って、1時間過ごしてくるっていう。で、僕が千円渡すからベローチェでお茶飲んで帰ってきて、どんな話したか報告してくれる。
そんなような稽古したことあるよ、発表会じゃないけど。恋人どうしの役に「次の日曜日なんかして過ごしてよ。」って言ったらサンシャインの水族館に行ったらしい。だから、瞬と花子はどっか行ってみればいい。
あとは、木俣に本当に写るカメラ渡して、休みの日にちょっと新宿で1時間くらいドキュメンタリー撮ってきてもらう。それをみんなで観て貶す(笑)
研修科生:(笑い)
小林:「なんだこの面白くないビデオは!」って(笑)
そういうようなことができるような稽古場だと楽しいなって思ってます。時間に追われるからなかなかできないよね!
そんなことかな、話してればきりなく長くなるけど!
研修生:ありがとうございました!
(動きの説明をしてくださっている様子)
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