卒業インタビュー『三文オペラ』に向けて#3

今回は卒業発表会を間近に控えた研修科二年生(61期)のインタビュー第3弾です。「ピーチャム(A)役、肥田野俊」「ポリー(A)役、夏八木映美子」「ルーシー(A)役、中川奈緒」「ジェニー(A)役、青木風花」にお話を伺いました。

(左から:青木風花中川奈緒肥田野俊夏八木映美子


①自身の役について

―卒業発表会『三文オペラ』の作品や自身の役についての印象を教えて下さい。


青木:私、実はこの『三文オペラ』っていう作品を大学の卒業発表会の時にやったことがあって、しかも役がジェニーだったんです。今回の研修科の卒業発表会と役が同じってことで、ちょっとみんなとは違うプレッシャーを感じています。役者やってても滅多にこんな役貰えないし、衣装もいつもと違う格好をできるのでそれを楽しみたいなと思ってます。普段できない格好をできる、できないことを喋れる、できない絡みができるっていうのを楽しみながら、リベンジみたいな感じで。大学の時の自分とは違う、文学座の三年間を経ての私で出来たらいいなって思いながら稽古しております。


中川:私はルーシーって役をやるんですけど、最初読んだ時の印象は、めっちゃ面白いなと。シーン自体が勢いあって楽しいところだし、8景の女子の探り合いみたいな部分もすごい面白そうだなって思って。しかもルーシーってやっぱりメッキ―スのこと大好きで、大好きだからこそいろんな行動をするんですけど。そういう言動って読んでて「自分もすっごい好きな人がいたらこうなっちゃうかも」ってなんとなくは分かるんだけど……


肥田野:なっちゃうんだ(笑)


一同:(笑い)


中川:やめて!そこを掘らないで!(笑)。でもさ、なんとなくわかるじゃん。だからこそ、なんでルーシーはこういう言葉を喋ったんだろうとか、こういう行動を取ったんだろうみたいなのを、一個一個丁寧にシーンを組んでいけるような作業を、ちゃんとしたいなって。それがあって初めて面白いのかなって思うので、今はまだ全然わかり切ってないけど、本番までに仕上げられたらいいなって思います。


肥田野:(ピーチャムは)率直に自分とは全然違う人間だなぁと思って。というのも、僕は結構人間って根っこの部分はみんないいやつなんじゃないかみたいな考え……


夏八木:性善説?


肥田野:そう、性善説みたいな考えがもともとあるんだけど、それに対してピーチャムは「人間なんてクソ」とかすごい嫌な部分を言ってくる人で。でもそれってたぶん、彼の人生の経験値からくる言葉で、人間のイヤな部分を経験してるからこそ出るのかなって。でも俺は、今までありがたいことに良い人にばっかり恵まれてきたから、「人間ってこういう嫌な部分があるんだぜ」っていうところに、どう共感していくかが課題だなって思ってやってます。

肥田野俊


夏八木:ポリーは、初めて読んだときは良くしゃべるしよく歌うし、元気すぎるなーって思って(笑) 。この役になったら大変だなって思ってたら配役されてしまった。でも今稽古していて、だんだん健気な子なのかなぁって思い始めてます。メッキースは、行っちゃダメだよって言ったとこに行って、やっちゃダメだよって言うことを全部やるわけじゃないですか。本当にどうしようもない人だけど、それでもなおメッキースがいるんじゃないかって思ってポリーはルーシーのところに行く。なんでずっとそんなに好きでいられるんだろう?すごい可哀想になってきちゃって。メッキースに「お前に心はあるのか」って言われても、もう一回彼に会いに行くっていうその健気さにビックリしちゃって。(ポリーのそういう部分が)私には無いのかもしれないっていう印象です。この役をどうこうしようというよりかは、「奈緒ちゃんだったらこのルーシーだろうな、俊くんだったらこういうピーチャムだろうな」っていうように、私なりのポリーができたらいいなっていうのが今の目標です。


中川:初めて同じチームなんだよね。


62期一同:へぇ~!


中川:昼間部みんな。初めてなんだよ。今までみんなAキャストとBキャストに別れてたから。


夏八木:大体みんな2年生と絡んで。初めて俊くんと絡んだらすごく変な役で。


肥田野:ああカスケード(2022年度第一回研修科発表会『カスケード~やがて時がくれば~』)のやつ。


夏八木:なんか変な関係で、一瞬で終わり。以降なにも絡むことなく。


肥田野:そうだね。


木下(62期):今回、楽しみですね。


夏八木:うん、楽しみ楽しみ。


② 文学座との出会い

―文学座を選んだ理由について教えて下さい。


中川:私は高校生の時に1年半くらい引きこもりになって、色々ついていけなくなって。家から出られなくなっちゃって高校を辞めて、でもどうにか高卒認定を取って。じゃあ次何しようって考えた時に、それまで勉強を頑張ってきたので、「もう勉強はやめよう。真逆の事をしよう。なんだ?芸能界!」って思って。


肥田野:芸能界って勉強の真逆なんだ(笑)


中川:私の中でね(笑)。でも人前に立つのは嫌だなと思い、声優やろうって。アニメとか見てたから。で、東京の声優の専門学校に行ったの。それで楽しくやってたんだけど、ある日松本祐子さんのワークショップを専門学校でやるってなって、面白そうだから参加してみようってなって。色々やったんだけど、その中で『五十四の瞳』のセリフを3人1組で読んでみようってなった時に、私3人1組から外れちゃって祐子さんとやる事になったの。それで祐子さんとやってる時に「あ、私今話しかけられてる」って思ったの。他の人は“セリフ”を読んでただけだけど、祐子さんは間違いなく今この言葉を私に話しかけてると思ったの。その時に価値観変わるくらい衝撃を受けて。何で祐子さんはセリフで私にこんなに話しかけられるんだろうみたいな。だからそのあとのワークショップも私ずっと「どうしたら伝わるんだこのセリフ」って考えてて。それで初めて“文学座の松本祐子さん”っていう存在を知った。それで『五十四の瞳』を観に行って、「こういう舞台をやる劇団があるんだ、へえ〜」って思って。卒業後は声優の養成所に行こうと思ってたから色々応募してたんだけど、文学座も応募しておいたの。そしたら、文学座の試験って他のところよりめっちゃ早いのよ。12月に試験が始まって、合格したら1月末にはお金振り込まなきゃいけなくて。で、それをやっちゃうと声優の養成所行けないのよ。だから、「どうしよう受かっちゃった文学座。でもせっかく1番始めに受かったし、行ってみよう!」って思ってここにきました。

中川奈緒


肥田野:文学座以外は声優の養成所ってこと?


中川:そう。文学座でも声優の仕事をしている方がいっぱいいることも知ってて。それもあって文学座にきた。声の仕事もしたいなって。


夏八木:私は勧められたからっていうのが、まず大きくて。元々私は映画をつくりたくて大学に行ったんですが、大学4年生終わりくらいの時に祖母が亡くなったのをきっかけに何もやる気がなくなっちゃって。抜け殻みたいになった時、夜中にネットサーフィンをしてたらオーディションをたまたま見つけて、その瞬間「あ、これ私の出る舞台だ」と思って応募したら受かり、下北沢で初めて舞台に出たんですね。で、じゃあこれが終わったらどうするってなった時に「やったらいいじゃん」って言われて。簡単に「可愛いからアイドルになりなよ」とか言う人いるじゃん。「背高いからモデルになりなよ」とかさ。何の確証をもってそんなこと簡単に言うのみたいな人っていっぱいいると思うんです。でも言われたから、じゃあやってみますかと思って。で、やるからにはちゃんと学びたいなって。お芝居を学ぶという事をしてないので。それで文学座の募集を見かけて、「あ、今だ!」って思って。色んな方にお会いする中で「文学座出身です」ってよく聞いたので。コロナ禍だったんだけど、受けてみようって。受からなったら私はそれだけの存在だ、スッパリ諦めようと思って。で、受かったから、「よし!やろう!」という感じです。


青木:色んな巡り合わせや、タイミングが重なったんだね!


夏八木:ほんとにタイミングタイミングでここに来て色んな方と会って今皆に会えてるのかなと思うと勝手に感慨深くなる時もあります。


青木:私は、色んな要因があるんですけど、人の影響っていうのがまずあって。大学の恩師が文学座の演出部出身だったんです。演劇やりたくて演劇を学べる大学に入ったんだけれど、文学座っていうワードは演劇に足を突っ込んでいればどこかしらで耳にするわけで。知ってはいたんだけれど、それまで私が観てきた舞台って結構ミュージカルとか割と楽しいやつが好きで「新劇難しそう、無理」って思いながら、観なきゃいけないんだろうなと思いつつ、文学座とか観て来なくて大学時代を過ごしていました。でも進路を考えた時に恩師が文学座出身だったということと大学の先輩がちょうど2個上1個上が続いて研究所に入ったんです。だからじゃあ私も入れるかなみたいな。一緒に芝居をやってた先輩達も入ってる所だし、演劇をやりたいんだったら行った方がいいのかもとぼんやり思いつつ、でもやっぱりちょっと新劇って難しいと思っていたんですけど、大学3年の終わりの2020年3月に文学座のワークショップを受けるご縁があって、その時の講師のお1人が松本祐子さん。


一同:祐子さんすごい。


青木:祐子さんのワークショップ受けて新劇って別にそんなに難しくないのかもって。会話をするっていうこと、相手とやり取りをするっていうような芝居の基礎の基礎を教えていただいた。それまで私が習ってきた演技のメソッドともちょっと違ったから面白いと思ったのと、そうゆう演出をしてる人がいる文学座ってちょっと食わず嫌いしてたけど面白いかもと思って、それまで何となく入った方がいいのかな勉強したいなと思っていたのを、行こうというのに決めて受けたっていう流れです。大学卒業して文学座研究所に入りました。

青木風花


肥田野:僕は、映美ちゃんと一緒でずっと昔から映画が好きで、でなんかいつからか分かんないけど、人生が2回あったら俳優やりたいなって心の片隅で思ってた。でもなかなか踏ん切りがつかず、大学卒業するっていうタイミングで色々就活とかも考えた。でもやっぱ人生1回しかないしやるかって事で決めたんだけど、それまで何もやってきてなかったから、とりあえず芝居がいっぱいできる環境に身を置こうと思って調べたら文学座が週6日間もやってくれるってことで、じゃあ一旦ここでやってみるかっていう事ですね。


一同:シンプル!(笑)


肥田野:あとまぁ今後どうゆうキャリアを進むにしても舞台出身っていう響きかっこよくない?


一同:(笑い)


③三年間の思い出や印象に残っている事を教えてください。


夏八木:なんか、喋り出したら明日になっちゃうくらい...


肥田野:じゃあやめとく?(笑)


一同:(笑い)


夏八木:そういうことじゃなくって(笑)。一年ずつ本当に色んなことあったなと思って。本科と研修科じゃメンバーが全然違うから。本科は月曜から土曜まであるじゃないですか。それで昼間部だと10時半から14時とかで。それを毎日やるってのが、終わらないマラソンずっとやってるみたいな感じで(笑)。起きたら絶対行って同じメンバーに会って頭狂いそうになりながら稽古して。日がな1日会ってた人が翌年には全く会わなくなって。で研修科に上がったら、まぁお話はしてたけどそんなにずっとべったりって訳じゃなかったメンバーと、しかもまさかの4人っていうので、なんかもうブルブルみたいな(笑)。で男の子は俊くんだけで。俊くんは俊くんで、んんんんってなってて。


肥田野:俺そんな、んんんんってなってた?(笑)


夏八木:うん、なってたよ(笑)。だって始まる時に「皆んなを殺す感じで行きます」って言って。


61期一同:伝説(笑)


肥田野:違う違う(笑)。あれは、オリエンテーションの前日にたまたま長渕剛さんのインタビューを見てて。で、そこで長渕さんが、「よく死む気でやるって言うけど、そうじゃなくて殺す気持ちでやるんだよ」って言ってて。確かに、みたいな。


一同:(笑い)


肥田野:死ぬほど頑張りますじゃなくて殺す気持ちで頑張りますって言った。


夏八木:そう、で、みんなが「えええ?」ってなって(笑) 。どういうこと?みたいな。


一同:(笑い)


肥田野:いやもう(昼間部出身の男子が)一人だから気張るしかないって(笑)


夏八木:目がぐわ〜ってなってるから、それ見て、オッケーオッケー自分も頑張ろって、一緒になってお腹痛くなるみたいな(笑) 。勝手に共感して、ふぅってなって。もう夜間部の子達はそれまでずっと見てるだけだったけど、会ったらすごい愉快な子しか居なくて。で、先輩とやるってのもまたちょっと不思議な感覚で。舞台上で見てた人だから、芸能人の人と一緒にやる感じだった。やっぱり苦しい思いとか楽しい思いを一緒に共感してるってことでは年齢が近い中での関わり、集団っていうのは特殊だなと思うので、あっ今この人苦しいよなとか、今私が苦しいのみんな感じてるよなとかいうのを味わってるのが一番印象が深いです。

夏八木映美子


浴(62期):ありがとうございます。俊さんのオリエンテーションのエピソードは切らずに…


61期一同:絶対使って(笑)


肥田野:恥ずかしい…。でも本科時代のことはたまに思い出しますね。なんかあんまり今一緒にやってる人がいないけど、どっかでいつか共演したいなって思ってますね。大変だったことで言えば研修科上がった当初、なんかもうしんどすぎて盲腸になっちゃって。


61期一同:そうだ!


肥田野:手術するかしないかみたいな。それぐらい頑張ってたな〜みたいな。


夏八木:絶対戻ってきてねって思ってた(笑)


肥田野:俺もうやめるかもなって(笑)


夏八木:怖いから、ダメ出しとかこうだったよって全部伝えて。


肥田野:そう、周りがフォローしてくれて。あの時はしんどかったですね。あとは、アトリエ入りするとすごいテンションが上がって、絶対一番先に行ってやろうって思うんだけど。絶対今日は一番乗りだって思っても絶対奈緒ちゃん(中川)がいる(笑)


一同:(笑い)


肥田野:だから途中から絶対奈緒ちゃんより早く行ってやろうって感じで行ってたんだけど。


夏八木:私は諦めたよ。無理だもん(笑)


肥田野:あの朝の誰もいないアトリエの雰囲気がすごい大好きで。


中川:私も好き。


肥田野:ていうのが思い出です。


中川:私は2つあるんですけど、一つ目が本科の時の『女の一生』での鵜澤(秀行)さんとの出会い。私は三幕のけいさんをやったんですけど、最初の役決まってない段階の本読みで、皆んなボロボロで、もうめちゃくちゃダメ出しされて。すっごい悔しくて、稽古終わった後に鵜澤さんに「お願いだから見捨てないで下さい」って言ったの。


肥田野:言いに行ったの?


中川:言いに行ったの直接。そしたら三幕のけいさんになって。そっから稽古始まって、座って喋るシーンが多かったから一日2、3時間正座して。「あなた」っていうこの3文字のセリフから進めない。この「あなた」だけで私1時間とかやってんじゃないかみたいな。それぐらいすっごい事細かに色々言われて。普段だったら私演出家さんの顔色伺っちゃったりとか、皆んな見てるのとか気になっちゃうタイプなんですけど、そん時ばかりは言われすぎてだんだん、「うるせえ!!」って鵜澤さんに対して思い始めて(笑)。なんかもう、いいだろ手の位置どっちでも、みたいな(笑)。


一同:(笑い)


中川:でも最後までやりきって、すごい充実感があって。で最後に鵜澤さんに、お前は俺に見捨てないで下さいって言ってきたから三幕のけいさんにしたんだよ的なこと言われて。その時に、ああやっぱり縮こまってんじゃなくて言いたいことは言うとか、自分が違うなと思ったら突き通すとか。なんかそういうマインドってやっぱり大事なんだなって感じたし、すごく感謝してます。もう一個は研修科での稲葉(賀恵)さんとの出会い。私は研修科一年の終わりに結構病んじゃって、「もう無理かもな舞台」って思った時に稲葉さんの『私の一ヶ月』っていう舞台を新国立劇場でやってたのを見て、すっごい感動して。もう最後の1時間くらいずっと泣いてて、それを見て救われたのその時の自分が。だから私は、いつか稲葉さんとお芝居するためにこれから頑張ろうって思ったら、(二年生になってからの)一本目が稲葉さんで!!


一同:すごい!!


中川:そう、本当ずっと夢みたいな時間で。正直自分の中で頑張りすぎて、わ〜ってなっちゃう時もあったんだけど、でもやっぱり思ってた通りすごい素敵な方だったし、すごく大事なことをその時もいっぱい教えてもらって。研修科上がれて良かったなぁって思った瞬間でした。


青木:私はやらかしエピソードなんだけど...。本科の…


肥田野:あぁ。


青木:これでわかったの?(笑)


61期一同:昼間部だからね(笑)


青木:『女の一生』で私は二幕のしずをやったんですけど。鵜澤さんて読みをすごくしっかりやってくださる方だから、すごい回数セリフを文字でも見てるし読み上げてもいたので、セリフはしっかり覚えてて。覚えるのも苦労しなくて、立ち稽古に入ってからもほとんど間違えたことがなかったんですよ。だけど本番の日に「私は生まれをもらうつもりはないのです。人が欲しいのです。」ってセリフの後に「けれどこれは私がさせるのではないのです。家がそうしろと命じるのです。」っていうセリフがあって。なんでかわからないんだけど、もう一回「人が」って言って。


夏八木:めっちゃ大きい声で言ったよね。


青木:そう、おけいさんを説得する言葉だからしっかり言ってたんだけど...


夏八木:私と奈緒ちゃんは三幕だったから、楽屋でドキドキして待ってたら「人が!」って聞こえてきて、今人って言ったよねって思ったら「家が!」って言い直して。


青木:ごり押ししました(笑)。言った瞬間、やば、え、どうするって体感5秒10秒ぐらい、でも本当にシーンってなってもう私がどうにかしなきゃいけない。でも他のことを余計に足してもおかしなことになる気がする…みたいなことを全部ひっくるめて多分3秒くらい。


夏八木:そんなかかってないよ。


肥田野:結構早かった。


中川:すぐ言い直してた。


青木:誤魔化しちゃいけないし、一対一だし、私が主導権握ってるし、崩しちゃいけないなと思って、どうにか言って。三幕に噛んだこの空気を残してはいけないと思って、全部引き取るつもりではけて行って、三幕始まって無事にみんなやってくれたので良かったっていう。


中川:でも、マジで今だから言えるけど触れられなかった。


夏八木:そう、らしくなさすぎて。


中川:励ますのも違うな...って。当時そんな気持ちになってた。


青木:本当に本番怖いなって。皆んなしっかり稽古してねっていう(笑)。セリフは入念に。余裕ぶっこいて直前にセリフ確認とかしてなかったけど、それ以降本当見なきゃダメだなって思うようになりました。


④最後に62期へメッセージをお願いします。


夏八木:集中講義にはみんな出たほうがいいよ。


一同:(笑い)


夏八木: 今回の『三文オペラ』でも歌うし。ボイスだったりマイムだったりダンスだったり、発表会の中で使えるじゃんっていうのがすごく多い。出席しないと単純にもったいないことをしている気がして。マイムでいうと、絶対自分で「パントマイム受けに行こ!」ってならないと思うし(笑)。すがぽんさんっていう方にお会いすることもなかなかないし。私も全然うまくなってないし、最後まで「ん?」って言われたけど、出席するだけでも違うかなっていうのもあるので。ぜひ集中講義には出たほうがいいよっていうのを今回すごく実感してますね。歌のこととか、どうやったら高い音が出せるかってことも、満田先生に教えていただいたから、なるほどこうすればいいのか、とか。できてるかはわからないけど、仕組みだけでもわかってるといいかなって。あとはみんな仲良くやってください(笑)。


中川:でも仲良いよね?


夏八木:そう。だからすごいなと思って。1年生初めからすごい仲良い!と思って(笑)。本番始まっちゃったら舞台上で助け合えるのは自分たちだけだから、もしその日喧嘩しちゃったとしても、間違えちゃったときに「今日喧嘩したから」とかそんなことは言えない。舞台は始まっちゃったら終われないから、舞台上で助け合える存在を、あと1年間大切にしてください。


肥田野:根拠のない自信を持ってほしい。日々稽古していて辛いことも、めちゃめちゃダメ出しされて自信なくなることもあると思うんですけど、根拠のある自信を持つことってすごく難しくて。人と比べたり、冷静に考えたら自分よりいい芝居するやつやセンスのあるやつってこの世界にごまんといるし。でもそういうことは一旦忘れて、「俺はできるんだ」「俺には他の人にはない何かがあるはずだ」っていうのを自分くらいは信じておかないと、この先続けてられないなって。俺自身がそう思うから、自信を持って頑張ってください。


中川:まず、1年間ありがとうございました。本当にみんな個性豊かで素敵な人たちばっかりで、私自身も見てて勉強になったり、負けらんないって思ったり、みんなの姿に「私も頑張ろう」って思える。そんな62期のみんながいてくれて、すごく有難いなってずっと思ってました。この先楽しいこともいっぱいあるけど、大変なことのほうがいっぱいある。でも、ここが世界の全てじゃないって思ってほしい。ここにいると、演出家は変わるにしても毎回同じメンバーで、どうしても人と比べちゃう。私なんか全然ダメじゃんとか、なんで演劇始めたんだろうとか、そういう考えになりかねない。でも、「別にいいじゃん!ここで上手くいかなかったからってなんだよ!」だし、逆にここで上手くいったからって「もうどこに行っても最強だぜ!」ってことでもないわけで。ここはここ、外は外。ある意味冷静に、でも楽しくやっていただければいいかなって思います。私は62期のみんなを素敵な仲間だと思ってるし、一人一人のファンでもあるので、これからも心身ともに素敵なお芝居をしてくれることを楽しみにしています。頑張ってください。


青木:私は、62期昼間部の卒業発表会の振り付けをさせてもらったので、61期の誰よりも先に62期の特に昼間部のみんなを知っていたから、愛着がすごくて。みんなと一緒にお芝居ができるのが楽しみだなと思いながら迎えた今年度だったんだけれど、みんなも言ってるけど本当に個性的で。夜間部の子たちも知っていく中で、一人一人全然違う武器を持ってて。すごい面白いメンバーが来たなって、発表会は毎回楽しかったです。私が研修科に入ったときは、元昼間部は4人だけで夜間部がいっぱいいてドキドキしてて、みんなが面白いから、自分に何ができるんだろう、私全然面白くないって自信をなくしたりもしたんだけど。でもさっき(肥田野)俊君が言ってた「根拠のない自信」じゃないけど、みんな違うから、きっと私もみんなと違うはずだと思って。私が、みんなはできていいなって思ってる部分はそりゃ絶対あるけど、私にしかできないこともきっとあるはずだと思って。ある意味諦めるというか、あの人はこれが得意だからこれを任せよう、この人はこうしたほうが面白いからそうなるようにサポートしようみたいな。みんなで作品を良いものにしつつ、お互いを良く見せられるように協力し合えたらもっともっと面白くなるのかなって。せっかくご縁があって集まれたんだから、潰し合いなんてそんなの嫌だから。お互いの欠点を補いつつ、良いところを引き出しつつ、面白いお芝居をしてくれることを、来年楽しみにしてます。


62期一同:ありがとうございました。



インタビュー:浴聖太

写真:木下綾夏

文字起こし:62期研修科

記事編成:櫻井優凜高澤知里

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