『少女仮面』は”大人のおもちゃ箱”!?演出・小林勝也インタビュー

「いつも以上に丁寧に演出している」と語った本作の演出・小林勝也。
本番が近づく中、インタビューを行いました。

少女仮面作者・唐十郎さんとの繋がり、どんな物事からもかっぱらい、吸収する貪欲な勝也さんの姿勢が見えたこのインタビュー。

”小林勝也とは”
”どんな思いで演出をしているのか。”

小林勝也に関して気になること、ぶつけてきました!

この記事を読めば全てわかるはず…!

『小林勝也ワールド』をぜひお楽しみください。




①研修科と小林勝也

(演出・小林勝也)

ーなぜ今回、唐十郎さんの少女仮面を演出しようと思ったのですか?


まぁ、一言でいえば唐十郎の作品が好きだっていうことと、僕の演劇経験の中で最大といってもいいくらい刺激を与えてくれた作家だからですね。

アトリエではなく、モリヤビル1階という条件の中で選んだ作品。この偶然がなかったら選ばなかったかもしれないけどね。
ただ元々少女仮面っていう作品がこうだからこれをやりたいっていうわけじゃなくて
それを題材に”今の君たち”が、あるいは””がどんな少女仮面を作ることができるかっていう面白さがあるんだ。

ー私達と勝也さんでどう作るか……。      演出する際のこだわりとかあるんですか?


自分の好きなことをやるっていうこと。
自分の好きな作品をやれるっていうのが
最大の研修科の面白さ。

ー研修科の面白さ?


うん。
毎回そうだけど、研修科の芝居って大人数でAチームとBチームのダブルキャストだから、ダブルの裏の人達がやれることを作るっていうのが1番楽しいかもしれない。
これは研修科でしかできない演出だと思う。
演出と言えるかわからないけど。
女性の人数が多かったら女性の役、男性が多ければ男性の役を増やすっていうね。

役者って基本出たがり屋だからそういう要求を少しでも叶えたい。

少女仮面だって固定された人数でやったら台本通りだから、
そういう意味では普通の公演と違うのかもしれない。


ー勝也さんは今年度の研修科生をどう思いますか?


50歳以上年の離れた人達と一緒に芝居を作れるというのは困難であると同時に面白い

ー困難とは?


僕は外国人の役は鼻を高くして目はブルーだっていうそういう馬鹿馬鹿しい所から出発してますから。
それは自分で気づいていく、なんか変だな、こんなことしてていいのかなぁと。

僕には誰も教えてくれる人がいなかったから他の芝居をみたり、気に入った役者の動きを見たり、自分で発見したり努力したり…。
先生といわれる人達にいわれたことはみんな反抗してた。

だから、言われたことしかやらないっていう姿勢には不満があります。
研修科に上がったら期待しますから。
立ち姿とか歩き方とかね。

もっと色々なものを見て興味、好奇心の塊になってほしいです。

それに今回はなるべくみんなに苦手な役をつけたつもりなんだよ、男は特に。


②唐十郎さんと小林勝也


ー唐さんの作品って個性的なキャラクターがたくさん出てきますが、この少女仮面の登場人物の魅力ってどんなところだと思いますか?


全員いるようでいない、いないようでいる登場人物達。
全部逆説になってるんだよ、この芝居は。
物の見方が全部なかったことに溢れてるんですよ、
唐十郎独特の非常にエロチックなものがセリフにあるよね。
そんなセリフはあり得なかった。
自分が言葉を発明する場合、読んだものとか、知識の量で言葉が溢れてくるものでしょ?だから本当に唐さんは凄まじい読書量なんだよね。

この作品は読むと自分がやりたい役が色々ある作品。

ま、どんな芝居もそうだけど。

ー唐さんの戯曲の魅力ですね。


唐さんの戯曲っていうのは僕らの世代、同じ世代って言ったら彼怒るかもしれないけど、1960、70年代の若者が目上の人間に反抗するっていう世界、人間や社会に対する今までと違う見方をする人間が出てきたのとマッチしてる。

唐さんの世の中の規制に対する反抗の姿勢に、芸術至上主義と言われ全くそういうことをしない劇団にいた僕は刺激された。
唐さんと個人的に付き合うようになってますますのめり込んだ部分もある。

ー個人的な付き合い?


僕はね、唐十郎に尽くしまくったんですよ。
彼が「もう一軒呑み行こう!」って言ったら
泥酔した唐十郎を自宅に送るまでが僕の仕事。
そういう関係ですよ。
僕の尊敬する人はみんな酒飲みだった。


③小林勝也とは


ー勝也さんよく絵画だったり映画のお話をされるイメージがあるのですが、それらと勝也さんの関わりを教えてください。


僕は1番影響されたのはフェリーニだから、この芝居もそうですけど、だいたいイメージはフェリーニのかっぱらってるだけ。
全部かっぱらい。独自のアイデアなんて生まれるはずがない。余程の天才じゃないと。
もうこの数千年の歴史でいろんな才能が出てきたからやることないよね。新たに。

ー確かに。


だから僕、人の影響はすぐ素直に受け入れるの。

世の中才能ある人いっぱいいるからね。
盗んでちょっと変えて。
だからスポーツとか絵の美しさとか映画とかからすごく学ぶの僕は。



ー最後に少女仮面の見どころをお願いします!ー

なんだろうね、今回のように狭い空間だと全部見えるからそういう意味だとすごく正確な演技が求められて難しい。劇場だと遠くに引いちゃうとわからないことすごくあるんだけどね。
だから役者が作る、役者が作るしかない


今年の文学座で1番面白い芝居を作りたいと意気込んでいる小林勝也さん。

研修科生と小林勝也で挑む少女仮面は、本日19時より予約開始しております。
奮ってのご予約おまちしております。


インタビュー 甲斐巴菜子、森寧々、池亀瑠真
記事・写真 池亀瑠真
※この記事は、インタビューを元に再構成したものです。

文学座附属演劇研究所研修科

2019年度第3回発表会『少女仮面』

は、

10月10日(木)~10月13日(日)

新モリヤビル一階
にて上演されます。
お電話 03-3351-7265(11時~18時/日祝除く)もしくはwebにてご予約ください!
発表会詳細はこちらからご覧いただけます!

0コメント

  • 1000 / 1000