三年間の軌跡。今何を思うのか。2年生インタビュー#4(白神冴京、松浦慎太郎、小石川桃子、渡邊真砂珠)

全4回に渡ってお届けしてきた2年生インタビューも今回が最後となりました。

本番まで残りわずか。
卒業までの時間をどう感じ、過ごしているのか。そしてそれぞれが目指す役者像とは…?

最終回となる今回は、トレープレフを演じる白神冴京(Bチーム)、松浦慎太郎(Aチーム)ニーナを演じる小石川桃子(Aチーム)、渡邊真砂珠(Bチーム)にお話を伺ってきました!!




①『かもめ』という作品の魅力



ーまず始めに、かもめに決まった時の心境や作品への印象、ご自身の配役された役について感じたことを聞かせてください。


松浦
僕は「あ、本科でやったやつだな」って(笑)

白神
懐かしいよね。

渡邊
懐かしいし、今まで海外戯曲を演る機会が少なかったから、「やったー海外戯曲だ。」って素直に嬉しかった、私は。だから本当に未知な部分もあるし、すごく楽しみ。

小石川
なんかその前段階で『かもめ』か『三人姉妹』か、みたいなのはあったじゃん?私はどちらかというと『三人姉妹』を推してたから『かもめ』になった時は「なるほど、そっちか」とは思った。でも『かもめ』は割と思ってることは分かりやすい印象があるよね。

渡邊
分かりやすいし、台本を読むだけよりも実際に動いてみた方が色々見えてくる部分があるよね。裏の部分というか、「この人はこの時どんなことを思っているんだろう。」みたいな。だから私はそういう楽しみもあったかな。

松浦
そうだね。僕はね…。『かもめ』って喜劇じゃないですか。最初は「なんで喜劇とまで言えるんだろう?」っていう疑問があったんだけど、稽古がだんだん進んでいくにつれて、「確かに笑える所がたくさんあるな。」って思えてきて…。だから本当に色々発見がある作品だなと思います。

白神
人間の滑稽な所が出てるよね。人間の本質というか。

松浦
大勢でのシーンが多いし、細かな仕草とか…例えば目配せとかの表情とかで魅せる芝居も多いよね。だから本当にやってて楽しいなって思います。

渡邊
それぞれが一生懸命に生きてるし、その人にとっての不幸な出来事とかは起こるんだけど、でもそれが面白いなって思うよね。こういうことなのかな、喜劇って。

白神
人間臭いよね。


ーなるほど。ご自身の役についてはどう思われましたか?


小石川
「まさか」って思ったよね。ニーナになるとは思ってなかったから。ちなみにニーナっていう人は未だに掴めないし全然分からない(笑)多分今までに全然やったことことのない役っていうのもあるし、根本としてニーナのような考え方を自分自身が持っていないっていうのもあるのかもしれない。でもそれは自分の考えが浅いからなのかもしれないし…と思いながら奮闘してます!

一同



(Aチームでニーナを演じる小石川桃子



ー枠を突き破るいい機会ということで。


小石川
そうですね。頑張ります。

白神
僕も若い役というか、青臭い!っていう役は全然やってないかもしれない。(松本)祐子さんが演出して下さる時は若いかも、確かに。それ以外は若くない役が多かったかな。


ー祐子さんって役者自身の内面も見抜かれますよね。例えば甘えたがりだとか。人を見抜く力がすごいですよね。

白神
だから本当に恥ずかしい(笑)でもまさか最後の最後に(松浦に)慎ちゃんとダブルになるとはね。

松浦
そうだね。


ー率直に、お互いのお芝居を見てどう思われますか?


渡邊
もう全然違うよね。

小石川
うん。逆のチームのことを考えたらそりゃあ(渡邊に)「うわ〜すごくいいな。」とは思うよやっぱり。ただ、真似をしたら劣化版になるからいけないんだろうなって思いながら見てるけど。

松浦
(白神・渡邊に)キラキラしてるよね。若さに溢れてるというか。

小石川
(松浦に)慎ちゃんは色気が溢れてるよね。

一同

渡邊
欲しいな〜色気。我々も頑張ります(笑)



(Bチームでトレープレフを演じる白神冴京とニーナを演じる渡邊真砂珠



ーでも本当に皆さんが楽しんで演られているのが両チームとも伝わってきます。祐子さんによって引き出されているものもあるとは思うんですけど、本番がすごく楽しみです。


渡邊
稽古は本当に楽しい。ただ観る側はどうなんだろうっていう気持ちはあるかな。

白神
まずは自分たちが楽しむしかないよね。お互いの役についてはそうだな、もう自分は自分でいくしかないなって思う。

松浦
僕も全く別物って割り切ってはいるかな。最初は「あ、ここがいいな。」とか「これは真似出来そうにないな。」とか意識しちゃうんだけど途中からなんか、そんなことしててもしょうがないなって思えてくるというか。

白神
みんな違ってみんないいだよね。

一同



②それぞれが目指す役者像



ーありがとうございます。次に、皆さんが目指す役者像とはどのようなものですか?やりたい役などがあればそれも聞かせていただきたいです!


松浦
あ、おかま

一同


ーちょっと想像出来ます(笑)


松浦
おかまやってみたい。あとこれはやりたい役とかなりたい役者像とかではないんですけど、(身体を)柔らかくしたい。やっぱり(身体が)柔らかい人って心も柔軟だと思うし、表現とかも自由自在に効くっていうイメージがあるから柔らかくなりたいですね。

渡邊
私は「上手いな」じゃなくて「良いな」と思われる役者になりたい"役を生きる"というか舞台上でもカメラの前でもスッとその場にいられる人、その世界で生きる人間としてセリフを発するというのかな…そして野望としては相手役をより魅力的に見せられる役者になれたらとも思います。今、この瞬間は。






白神
僕はね、アクションやりたい。体動かしたい。


ー運動神経めっちゃいいですよね、アクロバットとか得意な印象があります。


白神
ゆくゆくはそういう映画(アクション映画)に出たい。あとは歌を歌いたい、そして舞いたい。

一同

渡邊
それはミュージカルがしたいってこと?

白神
ミュージカルはおこがましいけど、ただ、歌って踊りたい。

小石川
私は、ビッグになりたいです。

松浦
それいいね。

渡邊
いやもうこれは一人しか言っちゃダメです。

一同

小石川
お芝居でご飯が食べられたらいいなって思います。なりたい役者像みたいな話でいうと、自分がどういうお芝居が好きかなって考えた時に“その舞台にいられる人”が好きだなって。「言葉に嘘がないな、信じられるな」っていう人が好きだなと最近改めて思うので、私もそういう人になりたいです。あとビッグになりたいっていうのは後世まで残りたいとかそういう話じゃなくて、(渡邊)真砂珠も言ってたけど「いいよね」って思ってもらえる人になれたらいいなって思う。私を見ていいなって思ってくれる人がいたらいいなって。というわけで頑張ります。



③58期へメッセージ



ー最後に後輩へのメッセージをお願いします。


松浦
体操には出ておいた方がいいなって。竹田(恵子)さんは、この人はこういう癖があるっていうのを本当によく見られていると思うので。人の体を見ることってすごく勉強になるなって思います。それぞれに身体的な課題があって、そういうのってお芝居に通ずるものがあるんじゃないかなって。だから体操ってすごく重要だなって、役に立つんじゃないかなって思いました。



(Aチームでトレープレフを演じる松浦慎太郎



渡邊
私は“閉じすぎないで欲しい”っていうことを伝えたい。自分の殻に閉じこもりたくなることもあると思う。なかなか思うようにはいかなくて「くそ〜」って攻撃したくなることも。でも否定的にならずにやっていって欲しいなって思います。一人にならないで欲しい。もちろん俳優としては一人だし、それぞれが自立することは大切なんだけど自分のネガティブ感情で周りの人を否定したりするんじゃなくてね。

白神
僕は研修科の中で生きていくってことを優先しすぎて自分の人生を遮断して欲しくないなって思う。研修科で過ごす時間はもちろん大切だけど、あくまで自分がやりたいことを信じてやっていって欲しい。だから好きにやればいいんじゃないかなって思います。自分の思うように伸び伸びと。あと一年しかないしね。

渡邊
いっぱい映画を観て、本を読んで、楽しいことをして欲しい。

白神
そう、広い視野を持って。

小石川
私は、楽しく苦しんで欲しいなって思う。ただ、楽しさだけでいくと自分に何が大切か分からなくなっちゃうからそこは気をつけないといけないけど。

白神
そうだね。その楽しさっていうよりは“精神的な苦しさ”みたいなのもありつつ、振り返った時に趣深い時間だったなって思える時間を沢山味わって欲しい。

松浦
58期のみんなは本当に仕事も出来るし、優しいし。これは去年僕が言われていたことでもあるんですけど、だからこそもっと我儘さを出してもいいかなって思います。せっかく面白い個性をみんな持ってるんだから。来年どうなるのか、すごく楽しみにしています。自由に楽しんで下さい。

小石川
あと人との出会いは大切にね。

白神
ご縁は大事だね。

ー本当にそうですよね。これからも出会いを大切にしていきます。本日はありがとうございました!







インタビュー:村上佳池亀瑠真甲斐巴菜子
記事構成:甲斐巴菜子
写真:池亀瑠真
※このインタビューは2019年12月12日に行いました。
※この記事はインタビューを元に再編成したものです。

文学座附属演劇研究所
2019年度卒業発表会『かもめ』は、


1月17日(金)〜1月19日(日)

文学座アトリエ

にて上演されます。
発表会詳細はこちらからご覧いただけます。

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