みなさま初めまして、研修科メディア編集部です。1月25日から始まる研修科卒業発表会『ロミオとジュリエット』本番まで残すところあと僅かになりました。
というわけでこの度は数回に渡り、我らが先輩である二年生に、卒業発表会を目前に控えた今の心境を語ってもらいました。本科の一年から始まったこの研究所生活三年間での変化や、現在取り込んでいる『ロミオとジュリエット』に関することまで…。
インタビュアーは研修科一年ブロッコリー大好き男、喜田です。
今回は、ジュリエットを演じる染谷知里、谷垣絢子、そしてロミオを演じる阿部大介、外薗海士にお話を伺いました。
喜田:それでは早速ですが、みなさん、本科から始まった研究所生活三年間の中で、自分の中に何か変化はありましたか?
阿部:一番は芝居に対して真摯に向き合うようになったことかな。
今でもまだ真摯さは全然足りないし、これからもっと真摯に向き合わなければと思うけど。具体的にいえば、「手を抜かない」ということかな。
染谷:私が気づいたのは、「頑張りすぎなくてもいい」ということ。本科の時は、大学に行きながらということもあり生き残るために必死だったけれど、研修科に進んでから「自然と生まれるものを壊さない」ことの大切さに気づいたかな。
つまり素直にというか、力がうまく抜けている状態であってもいいのではと思うようになったかな。
↑阿部大介
外薗:俺は三年間で変わったかどうかよくわかんないし、どんどんわからなくなってるな。一時期芝居も嫌いになったし、今は好きだけどまた嫌いになるかもしれないし、その繰り返しという感じがする。
谷垣:私はもともとネガティブで、なにかあるとすぐヘコタレてしまう方だったけど、ある時から開き直ることを覚えたかな。あるところで「どうでもいいや」って思えるようになってからすごく楽になった気がする。
喜田:なるほど…。では、この三年間で様々な作品と関わってきたなかで、最も影響を受けた作品はなんですか?
谷垣:私はやっぱり研修科一年のときの『ペンテコスト』かな。主役級の役をもらったことが驚きだったけれど、その大役に対して何もできない自分が悔しかった。でもそのぶん「相手と会話する」大切さを痛感したし、この作品以降もそれを大事にするようになったかな。
外薗:俺は『ペンテコスト』から『美しきものの伝説』にかけて。『ペンテコスト』では何をしてもうまくいかないもどかしさを感じた。それから『美しきものの伝説』では「程よく」「自然体」でいいのかなと考えるようになった。そういう意味で一番影響を受けたのかなと思う。
(2017年度研修科 第3発表会『ペンテコスト』)
染谷:私は『これは白い山でなく』が大きかった。まずこの芝居で演じた役が自分の性格と割と近いもので、はじめて自信を持ってできたから。今までやってきた芝居では「前にどんどん自己主張する」ような女性像というのがあまりなかった中で、前に出る女性をはじめてできたことが印象深い。
阿部:俺は『愚者には見えないラ・マンチャの王様の裸』だね。この芝居を通して、「型」というものは別になくても良いんだと気づけた。確かに型も必要なところはあるかもしれないけれど、もっと自由でもいいんだ!と気づけたという意味で印象深いね。
(2018年度研修科 第2回発表会『愚者には見えないラ・マンチャの王様の裸』)
喜田:それではこの三年間で一番楽しかったことはなんですか?
外薗:俺は小道具に全力を注いでいる時。衣装や小道具に力を入れるときが自分の中でワクワクするし生きる実感が湧く。
谷垣:私は、稽古場で他の人の演技が変わった瞬間。稽古場内での、そんな瞬間に面白さを感じるかな。
染谷:私は「山登り」かな。稽古が休みの時に他の研修生と一緒に登山を開催するのだけど、登山の時、稽古では見れないみんなの表情が見れる。そういう時が純粋に楽しい。
阿部:やっぱり本科の一年。良くも悪くもいろんなことが学べたし、学生っぽい経験ができて楽しかった。みんなでお芝居を作る楽しさを教えてもらえたな。
↑外薗海士
喜田:確かに、稽古以外の時間でも「楽しい」と思う瞬間はたくさんあります。では、みなさんは今後、どういう“役者”またはどういう“人”になりたいと考えていますか?
谷垣:私は、これから先もずっと役者であり続けるとは限らないと思っている。もちろん演劇は自分の表現手段の一つとしてこれからも残るけど、それだけでなく他の表現手段にも注目してる。
染谷:私は、高校二年生の時に野田地図を見て、将来それに出れるような人になりたいということ。そして物語の登場人物として作品の中に入りたいという願望は強くある。そういうことが好きだからまだ離れたくないな。
阿部:俺は、とにかくエネルギーに溢れた人になりたい!つまり自分からどんどん発信できる人に。
外薗:俺は型にハマって安心しちゃうところがあるから、常に型を破るような型破りな人になりたい。
喜田:今稽古真っ最中である、卒業発表会『ロミオとジュリエット』への意気込みをお聞かせください。
染谷:稽古が始まる前はジュリエットって「ただのお嬢様」だと思ってたけど、今回のジュリエットの役を通して感じたのは、この作品の前半と後半でジュリエットという人物像が全然違うということ。そういう意味でいろんな人間の面が表現できるのが面白いし、今の自分にどこまでこのジュリエットという役ができるか頑張りたい。
阿部:とにかく愛を持って躍動したい。愛が一番大切、愛こそすべて! だから愛というエネルギーを持って舞台を走り回りたい!
↑染谷知里
谷垣:私は二年前、本科の『わが町』のとき、今回の『ロミオとジュリエット』の演出家である高橋正徳さんにさんざん「お前は愛がない」と言われた経験がある。だから、はじめジュリエット役になるなんて全く予想だにしていなかったけれど、与えられたからにはこれを機に全身全霊で愛を表現したい。
外薗:俺はこのロミオ役で、やればやるほど自分の経験の無さを感じる。じゃあどうするかということをとことん考えるしかないなと思う。とにかく日々ボコボコになっているけれど、考えることに満足せずに考え抜くしかないなと。
↑谷垣絢子
喜田:では最後に、われわれ後輩に向けてメッセージがあればお願いします。
阿部:バイトとかしながらで大変だとは思うけど、頑張って遅刻しないようにね。それから芝居が上手い下手とかではなくて、いろんな面でこれから入ってくる後輩の良き目標となって欲しいな。
谷垣:今の57期は年齢が若くて、次後輩として入ってくる58期の年齢と逆転しそうで面白いね。君たちが先輩としてどうやっていくのかとても楽しみにしてるよ。
染谷:自信過剰になるのも自信不足になるのも良くないから、ちゃんと自分を持つこと。私は豆腐メンタルだったから、簡単にへこんでしまう。でもそれじゃあもったいないなと思うから、そういう部分で頑張って欲しいな。
外薗:とにかく楽しくいこう。あと若さゆえにトガりすぎないようにね!
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