みなさんこんにちは、前回のインタビューいかがでしたでしょうか。今回は前回に引き続き研修科2年生(56期)へのインタビュー第2弾です。
今回お話を聞いたのは、石井大樹、小野瑞季、玉木惣一郎、松本祐華です。4人全員ともに本科時代は昼間部であり、3年間を共に歩んできた仲間でもあります。
インタビュアーはおなじみメディア編集部の喜田です。
喜田:ではまず、この研究所の3年間で、自分の中にどのような変化があったと感じていますか?
石井:もともと本科のときは一匹狼のように団結力が乏しかったけど、研修科に入ってから夜間部の同期や、ひとつ上の先輩との繋がりができた。そういう中で色んな人と関わりを持つことで役者として成長できる、と思えるようになったかな。
小野:私は岡山県出身で、研究所本科への入所を機に初めて上京してきて、世界が広がったなと思う。バラエティ豊かな様々な人と出会うことが良かったし、応援してくれる家族や友人に感謝するようになった。
松本:変わったことといえば、研修科に上がってから両親が応援してくれるようになったこと。あとこの三年間を通して「人脈」というものの重要性をさらに感じるようになったかな。あと台本を読む時や演出家からダメをもらうとき自分の学の無さを自覚するようになったから、小中高校でもっと勉強すればよかったなって思う。
玉木:僕には「変わらない部分」と「変わった部分」というのがある。常に明るく元気に、それから「人とのご縁」を大切にすることは一貫して変わってない。変わった事は、芝居においてもプライベートにおいても、相手をしっかり見て相手のことを考えられるようになったと思う。
↑石井大樹
喜田:ありがとうございます。それでは、この三年間で一番影響を受けた作品もしくは出来事はなんですか?
石井:俺は『見よ、飛行機の高く飛べるを』(演出 松本祐子)。祐子さんは本科入学前のワークショップから含めると毎年関わりがあった。だから以前の自分と同じものを見せたくないという思いが常にあって、それが成長に繋がったと思う。「出来事」でいえば、本科の時に大失恋をしたこと。この失恋という体験が芝居にも役立つようになったと思う。
玉木:『見よ、飛行機の高く飛べるを』は確実に自分の分岐点となった。この稽古期間中、祐子さんの期待に応えたい思いはあるのに、その要求に追いつけないもどかしさを感じた。それまではただ楽しく芝居をしていただけだったけど、プロとしてやっていく自覚というか、そういうもののスイッチが入ったのがこの時だった。
あと、ニューヨークへ西村さん(準座員の西村知泰)が出演されていた『NINAGAWA・マクベス』を観に行った事も自分の中ではかなり刺激になった。
(『見よ、飛行機の高く飛べるを』)
小野:うーん…。私は初めて他の劇団で『見よ、飛行機の高く飛べるを』を観たときかなあ。それまで自分自身はあんまり男女差別とか意識したことなかったんだけど、すごい響いたのね。社会問題とかを扱った戯曲をあまり知らなかったから。
それで、それまではただ楽しいからお芝居をやってたけど、社会やいろんな人が抱えている問題の解決に、ニュースや討論だけじゃ伝わらないことを、演劇を通して社会に興味を持ってもらうっていうのはいい方法なのかもなって気付いた。
松本:私が一番影響を受けた出来事は、本科に入って間もない頃にやったエチュードで、同期の武田さんが面白すぎて、それに比べ何もできない自分に悔しくて泣いてしまったこと。それが、もっと頑張ろうというきっかけになったかな。同期って大事だなって思った。
↑松本祐華
喜田:この三年間で一番楽しかったことはなんでしょうか?
石井:俺は、夏に研修生で川でバーベキューしたことかな。稽古以外のところで、みんなで時間を共有することがすごく楽しかった。ここには自分より年上の人が多いし、そういういろんな年齢が集まる面白さもあるなと思う。
松本:私はこの研究所に入る以前に学んできた服飾や絵といったスキルが全部活かせていることが楽しい。たしかに衣装をつくるのは骨が折れる作業だけれど、自分の好きなことだから楽しんでやれる。だから芝居も含め、一日中楽しいことをしているなって実感できるかな。
玉木:僕はやっぱり、カーテンコールの時や、その日来てくれたお客さんに公演後に感想をもらってる時が、嬉しかった。それがいつも明日の活力に繋がっている。
小野:私は、稽古中にみんなが本番ではしないようなはっちゃけやハプニングが見れるときかな。そういう稽古だからこそやれるし、見られるいろんな面を見れるときは楽しい。
喜田:なるほど…。では具体的になるんですけど、今稽古中の『ロミオとジュリエット』の意気込みをお聞かせください。
玉木:この卒公をゴールとするのではなくて、芝居人生の通過点として最後まで成長し挑戦し続けていきたい。なおかつ、来てくださるお客さんに最高のものを届けられるようにしたいと。思ってます!
小野:今回私はシェイクスピアをやるのは初めてで、その独特の長いセリフに苦戦しているけれど、やるからには来てくださる方々を退屈させず「良かった!」と思っていただけるようしたい。頑張ります。
↑小野瑞季
松本:セリフを腹の下に落とす。高橋さんに負けない。楽しむ。いい卒業公演にする!
玉木・石井・松本:おーーっ!
松本:です。笑
石井:俺は、これが三年間の研究所での最後の公演になるけれど、これがまたどこかに繋がってくるという意識を持って一瞬一瞬を大切にやりたいと思う。
喜田:そんな卒業公演も含め、これから先自分はどんな役者になりたいと考えていますか?
松本:役者としての技術はこれからも求められるし、それは常に磨かねばならないと思う。その上で、「いまの自分」を失わずに、その時その時の自分のあるがままを大切にして楽しく芝居をしていきたいと思う。
小野:うまくなりたい!「うまい」ってなんだって感じだけど、私はこの三年間で、自分がまだまだ足りてなさすぎるって痛感した。だからとにかく漠然とではあるけれど、もっとうまくなりたいなと思う。
石井:俺は単純に「たくさんお客さんが来てくれる役者」になりたい。そのためには技術を高めるだけでなく、舞台以外のあらゆるメディアでも活躍したいと思う。そしてお世話になった人に恩返しができるよう頑張りたい。
玉木:僕はシンプルに「全国民が知るスーパー俳優」、ひいてはハリウッドで活躍する役者になりたい。役者を始めた時から変わらず思っているけど、震災などで困っている人たちや、世の中の元気のない人々に笑顔とパワーを届けられるような影響力を持つ人間になりたいから。そのために、これからも変わらず常に明るく成長し続けたい。
↑玉木惣一郎
喜田:最後に、われわれ後輩に向けて一言お願いします。
松本:同期たちと楽しくワイワイ芝居ができるのは今だけだから、とにかく今を楽しんで、同期たちと一緒に考えて、いつでも相談しあえるこの環境を大切にして、これからも過ごして欲しい。
小野:もう後輩たちには感謝しかない。私たちの先輩の55期のような先輩っぽさが無くてごめんね。良い後輩ばかりだったし、本当に…ありがとう。仲良くしてくれてありがとう!
石井:これは先輩が言ってたことでもあるんだけど、今はこうして一緒に作品を作ることは当たり前であるけど、今後みんなそれぞれの道に進んだときに、またどこかの現場で出会った時が、本当の出会いだと思う。仲間としてであれ、ライバルとしてであれ、また出会えることができればいいな。
玉木:僕は後輩のことが大好きだけど、これからは(石井)大樹が言うように仲間でありライバルであると思うから、また出会うときは、一緒に良い作品を作りましょう!
喜田:みなさん今日はありがとうございました。
インタビュアー:喜田裕也
文・構成:小谷俊輔
編集:平体まひろ
今回お話を伺った56期生のみなさんが出演する
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